「フランスにおけるムスリム移民について考える」
今学期の履修登録期間に、学務情報でフランスのスタディツアーに参加するメンバーを募集しているというお知らせが掲載されていた。履修登録等がなければ、学務情報なんてめったに開かないわたしは、こんなものもあるのかと興味本位でリンクを開き、募集要項に目を通した。内容は「フランスにおけるムスリム移民について考える」こと。なんとフランスに行って各都市を巡るらしい。しかも渡航費、宿泊費は学校持ち。よし応募だ。
そんな感じでものすごく安易な動機からこのプログラムへの参加を希望したわけだが、募集枠は5名。まず、この問題に関するエッセイをメールで送り、その上で面接を行う。そのエッセイを書くときに初めて、ヨーロッパにおけるムスリム移民問題について知ることになるくらい、わたしは無知だった。でもフランス行きたい〜〜〜。とりあえず調べて書こう。まだまだ安易。エッセイのためにネットで色々と調べていくうちに、シャルリエブド事件、フランスにおけるムスリムの失業率の高さ、「郊外」の存在など、この問題に関する断片的な知識を得る。そういったものをエッセイにまとめ、面接に挑む。面接では、自分の専攻語や、興味関心分野と、今回のスタディツアーで学ぶことの関連性について問われた。わたしは「日本国内に韓国や中国からの移民が多く、彼らも完全に日本人と同じ権利は認められず、日本における嫌韓意識など、いまだに解決されない諸問題があること」 を挙げて、「 その解決策を見出すために、ヨーロッパの事例を学び、参考にしたい。」というかなりこじつけっぽい答えをした記憶がある。なにはともあれ無事合格した。やったよママ!
先生曰く、想像以上に応募者が集まり、その中で取りたい学生が多かったため、可能な限り採用枠を引き伸ばしたらしい。結果合格者は7名。内訳はフランス語学科2名、アラビア語学科3名、イタリア語学科1名、朝鮮語学科1名。(アウェー!)
無事履修登録を済ませて、ゼミ開始。そもそもこのプログラムは明治学院大学の教授のゼミ生が毎年行っているフィールドワークで、今回、外大でもそういったスタディツアーを推奨するようになったから、たまたまその教授と知り合いだった、うちの先生がそれなら外大生も一緒に連れていっていただけませんかとお願いして実現したものらしい。つまり明治学院大学の生徒はゼミでこのムスリム移民問題についてすでにかなり学んでいるわけで、こちら側も渡航前にできるだけ知識を共有し、この問題についてじっくりディスカッションを行う機会を設けて、理解を深めておく必要があるという考えから「予習ゼミ」という授業が開講された。
内容としては、このヨーロッパ、特にフランスにおけるムスリム移民問題に関する文献を、初日に先生がどっさり人数分用意してくれていて、それを週ごとに割り振り、担当者を決めて、その担当者が授業で文献の内容についてまとめ、論点を提示して先生のコメントをもらいながら議論を進めていくというもの。
そして月に1回程度、明治学院大と合同でゼミを行う。こちらの内容も大体予習ゼミと同じ。みんなその週の課題文献を読んできて、代表者が発表、議論。渡航前には関内で合同合宿があり、みっちり勉強した上で2月9日〜22日までフランス、という流れです。フランスではパリ、マルセイユ、リヨンを巡り、実際にモスクやイスラム団体などを訪問したり、移民街を訪れたり。ひたすら本格的なフィールドワークを行うというスケジュール。
ここまでが、このツアーに参加するまでのお話とその概要。
大事なのはここから。この、わたしが担当した最初の週の授業が終わった、数日後にパリの同時多発テロが起きる。世界中のニュースで最も注目されるようになった事柄が今まさに勉強している分野という偶然。わたしたちのゼミは一気にシリアスなものになり、もともと白熱していた議論もさらに真剣味を帯び、みんなより積極的にこの問題に関して取り組むようになった。
これからこのスタディツアーの予習ゼミと、実際にフランスに着いてからの2週間の活動(テロの影響でツアーが実施されるかは今のところまだ未定 今評議会で審議しているらしく、こちらは行くことを前提として準備を進めているという状況です)を通して学び、考えたことをここに記録していきたいと思います。長くなってしまったので、実際に問題に関する話に入るのは次の記事に回します。興味関心がない方も、ぜひ読んでいただけると幸いです。
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