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2015 THE BOOK LIST

 

 

去年の記事からちょうど一年!もともとこの記事を書いたときから、毎年年末にまとめる習慣をつけようと考えていたので、今年も!年末読書履歴総集編、第2段です。

 

去年も、高校時代にかなり薄れてしまっていた読書習慣を改善して、自分で満足できるくらいの量を読むことができましたが、今年は去年よりもさらに多く色んな本を読むことができました。きっと去年で身につけ直した習慣のおかげです。1月からいいスタートが切れました。ただ今年は世界の情勢について学ぶ機会が多く、その関連で、新書や専門書を読む機会が増え、「読書」は必ずしも「小説を読むこと」ではないし、もうそんな年齢でもないと思い始めて、今年の下半期からではありますが、小説でない本の中で、面白そうだと思えるような本があれば積極的に買って読むようになりました。まだそういった本に関しては浅い知識しか得られていませんが、これに関しては来年の目標ということにして、今日はとりあえず、2015年に読んだ本をまとめたいと思います。小説がほとんどなので、オススメしたい小説トップ3と、その他読んでよかったと思う本、あとはリストにしてダダッと簡単に紹介します。

 

 

3位 「羊たちの沈黙」上下巻 トマス・ハリス

羊たちの沈黙〈上〉 (新潮文庫)

羊たちの沈黙〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 FBIの訓練生であるクラリススターリングと、8年間収容されている連続殺人犯である元精神科医ハンニバル・レクター博士、複数の女性を誘拐、殺人し、指名手配をされている通称バッファロービル。クラリスレクター博士と出会い、彼の並外れた知識に支えられながら、バッファロービルを追い詰めていく物語。まだ訓練生の身でありながら、洞察力、行動力に優れたクラリスの活躍にワクワクします。これはその必要性を感じて古典ばかり読んで疲れてしまったわたしが、軽く読めるものを探していたときに見つけた小説です。海外文庫の棚に平積みにされていて、帯にはドラマ化が決定とかかれていたので、popsをダウンロードするくらいの気持ちで購入。しかし大ヒットしたのも納得なくらい最高にスリルがあります。文章を追ってるだけなのに、現場の緊迫感がひしひしと感じられ、映像は自分が自分の脳内に作りだしているのにもかかわらず、残虐な犯行の描写には目をつむりたくなるような、作者の文才にただただ感銘を受けます。

 せっかく学生時代に古典をできる限り知るつもりで本を読んでいるのに、1年読んだ本のうち最も面白かった本の中にこれを入れるのはひどく矛盾しているような気がしますが、「面白かった本」を挙げることを考えれば、文句なしのランクインです。これには「ハンニバル」という続編があって、この7年後、クラリスがFBI捜査官になってからの物語になっています。こちらもついさっき読み終わりました。個人的には「ハンニバル」の方が好きです。「羊たちの沈黙」ではレクター博士は終始囚われの身。しかし「ハンニバル」はレクター博士が見事な逃亡劇を見せたのち、有り余る富をもって優雅に暮らす様子を見ることができます。特に下巻のクライマックスを過ぎたあたりからはあまりにもその暮らしが瀟洒であり、文章が脳内に映し出す艶やかな景色に惚れ惚れさせられます。特にこの「ハンニバル」ではレクター博士クラリスを精神学的観点から分析し、彼女の全てを理解しようと努める描写が多く、その知識の深さにただひたすら感動します。

何よりも、レクター博士は基本的な行動様式を突き止めようとしていた。知覚を持つ存在の例に洩れず、クラリスもまた幼児期の体験を核にして、のちの思考様式を規定する基本的な精神構造を形成したのだろう。それは彼にもわかっていた。

 

そのほかにもフィレンツエの美しい街並み、建築、絵画、音楽などの美術から、車、食事、ワイン、などの高貴な嗜好など、ラグジュアリーなものを知ることが好きなわたしには目から鱗が落ちるような知識の数々。確かに享受致しました。以後わたしの人生に少なからぬ影響を及ぼすでしょう。

 

 

2位 「ジェニイ」ポール・ギャリコ

ジェニィ (新潮文庫)

ジェニィ (新潮文庫)

 

 

 最高にかわいらしい小説です。ロンドンに暮らす猫が大好きな、小さな少年がある日突然白猫になってしまうところから物語は始まります。猫嫌いのばあやにすぐさま家を追い出され、路頭に迷い、あらゆる苦難に遭遇するうちにジェニイという魅力的な猫に出会い、一緒にイングランドを冒険します。最初から最後まで純粋無垢。まさに大人の童話です。この設定からはただのファンタジー小説のように思われるかもしれませんが、主人公ピーターの心優しく、まっすぐな様にはたびたびはっとさせられます。

 

ピーターは自分とジェニイのどちらも、そのことは一生涯忘れないだろうということは知っていたし、また、無考えの残酷な行為は、後悔しても後の祭だということも知っていたし、また、過去の過ちの償いをしようと、どんなふうに思っていようと、そのためにどんなことをしたいと思っていようと、人の世というものはそんなこととは無関係に、容赦なく動いてゆくものだということも知っていたし、また、いくら心配して苦しんだところで、「ちょうど間に合ってよかった」という場合より、「遅すぎた、もう遅すぎた」という場合のほうが多いことも知っていた。りっぱな行為や、正しい行動というものも、それをすぐさま実行に移さなければ、何の役にもたたないものなのだから。ピーターはまた、自分はただちにジェニイを救わなければならない、ということも知っていた。(本文より引用)

 

また猫に関するとても詳細な描写が特徴。著者ポール・ギャリ子は無類の猫好きだったそう。猫たちを細かく描き出し、猫の世界の礼儀や掟を読者がすんなりと納得してしまうように構成されています。

 

猫好きの、猫好きによる、猫好きのための小説。このクリスマスシーズンにでもぜひ。冬の、明るくて暖かい部屋で過ごす夜にぴったりです。プレゼントにもいいと思う。

 

 

1位「風とともに去りぬ」1~5巻 マーガレット・ミッチェル

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

 

 

 堂々たる1位です。アメリカ文学の代表作。名前だけ知っていて、これがどんな話なのか全く知らなかったのですが、アメリカ文学はあまり読んだことがなかったし、学校の生協で売っていたので、ちょっとした興味本位で1、2巻を購入。まんまとハマりました。毎日移動中、隙間時間、就寝前に読み進め、読み終わる前に次の巻を買って、5巻まで一気に読破しました。最高。やっぱり主人公が若い女の子だと読みやすいですね。私の好きな「赤毛のアン」「ジェーンエア」の少女たちとはまったく逆の人間、スカーレット・オハラ。(女優のスカーレット・ヨハンソンはこの小説が名前の由来になっているらしいね)舞台はアメリカの南北戦争時代。スカーレットは広大な綿畑を所有するジェラルド・オハラの長女。裕福で、何不自由なく暮らしていた彼女は苦労というものを知らず、どの青年に対してもその美貌を武器に自分の魅力を存分に披露し、その全ての心を自分に向けることにおいて完璧なまでの成功を収める。そんな彼女にとっての「普通」の暮らしは、南北戦争の激化によって明日食うものに困るほど落ちぶれてしまいます。

 南北戦争と言えば、世界史で習いますが、わたしが記憶しているのは「南部は奴隷制の廃止に反対し、非人道的であると各国から非難されたこと」「北軍が勝利すること」くらいのものでした。しかしこの対立を南部側から見るというのは非常に新鮮で、「気高く生きた本当の紳士・淑女」という彼らの誇りに触れて、わたしは自分の視野が明るく広がっていくのを感じました。

 わたしのお気に入りの架空の人物がアン・シャーリージェーン・エアであることからも容易に予想できるだろうとは思いますが、この小説からその人物リストに追加されたのはスカーレットではなく、病弱で弱々しくも、強い正義感を持ち、広い知識と深い信念を持って生きるメラニー・ウィルクスです。しかしスカーレットのその情熱的な生き方、決して屈することのない精神にも憧れます。5巻までありますが、読み始めたら止まりません。世界の歴史におけるほんの十数年の物語ですが、歴史というものがどのように生まれ、後世に伝えられるのか、その過程を知ることができます。複数の出版社で、それぞれ旧訳、新訳が出ているので、どれを選べばいいのか迷いますが、わたしは個人的に新潮文庫が好きなのと、20世紀の日本語訳に小さい頃から慣れ親しんでいるので、大久保康雄・竹内道之助訳(旧訳)で揃えました。読み比べ等に関してはいろんな方がまとめてらしたのでそれを参考にして決めるのも楽しいかも。とにかくこれは名作。読んで損はないのでぜひ。

 

その他おすすめの作品

 

「雪のひとひらポール・ギャリコ

 

 今年は「多くの本を読むこと」に加えて、「一人の作者につき2作品以上読むこと」も目標の一つに掲げていました。代表作を1つ読んだだけでは、その作者を知ったことにはならないような気がして自分で課した課題です。その考えから、「ジェニイ」を購入した際、同時に「雪のひとひら」も合せて買ったのですが、こちらもまたそれはそれは美しい物語でした。その日本語訳から溢れる暖かい愛もまた魅力的です。これは女性が書いたのかしらとふと感じて本を閉じ、表紙を見て、訳者の名前が女性のものであったとき、心から納得したのはとてもいい思い出です。この本に関しては、彼女の書いたあとがきが素晴らしいので、それを引用するだけにとどめておきます。

 

「ここにご紹介する『雪のひとひら』は、ひとりの女性の誕生から死いたるまでをえがいた、いわば女の一生の物語、それもめずらしくファンタジーの形式でつづられた、女の愛と生涯の物語です。ー中略ー この「雪のひとひら」の主人公の生涯も、要約してしまえばごく平凡な、あたりまえの女の一生にすぎません。この世に生まれてきて、結婚して子供をもうけ、やがて夫に先立たれ、子供達も独立して行って、老いて、死ぬ。それだけのことです。人類の歴史はじまってこのかた、いつでもどこでも繰り返されてきたにちがいない、いわば典型的な女性の生涯です。」

 

「この小説にはほとんど無駄というものがありません。外面的な事件ばかりでなく、心理描写にしてもおなじことで、およそ女が女として生きてゆく上で味わうであろうよろこびとかなしみのすべてを、いささかの誇張もなしに、きわめて純粋にしかも克明にえがききっています。」

 

「この小説の主題はやはり愛のこと、もしくは美と愛との一致するところにあり、その答えはほぼ最後の数行につくされていると思うのです。臨終の雪のひとひらの耳に、なつかしくもやさしいそのひとのことばがきこえてきます。「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。さあ、ようこそお帰り。」これです。これこそはおそらくこの世でもっとも甘美なささやきではありますまいか。ー中略ー 原文を知りたいかたのために書き記せば、’Well done, Little Snowflake. Come home to me now.’ ですが、この Well done が心からいわれるためには、相手のなしてきたことにたいする理解、その辛さ、さびしさ、苦しさを読み取るだけのまなざしが当然なくてはなりますまい。」

 

 

「よるべのない個として生涯を旅にすごした雪のひとひらを風のゆりかご以来終始見守りつづけてくれたらしいそのひとのことを、ギャリコはただ、彼、として大文字を以て He と書き示しています。これは聖書のなかの神の扱い方にも通じるもので、西欧的な神観念の起源もおそらくこのあたりにあるのでしょうけれど、それはそれとして、筆者には、この何者かがあくまで「彼」=男性であることが、雪のひとひらの女性であることと考えてまことに興味ふかく思われます。」

 

「それらの人々すべてがしあわせな雪のひとひらのように、終焉のきわに Well done をささやきかけてくれる He をもっていたかどうか。」

 

「ギャリコの作品に登場してくる女性たちは、猫のジェニイにせよ、メイドのハリス夫人にせよ、いずれもつつましい生涯を生きながら、その欠点や短所をもふくめて作者の十全な理解に支えられ、そのあたたかいまなざしのもとにあそばせられて、女であることのよろこびとかなしみを充分に味わわせてもらっています。」

 

「このようなまなざしとことばを持つ作家が一人でもいてくれるかぎり、いつかは両性の相互理解ということばも夢ではなくなる日があるのではないか。そんなあかるい希望さえも抱きたくなってもきます。」(以上全て 「愛のまなざしのもとにーあとがきに代えてー」より引用)

 

訳者矢川澄子さんの紡ぐことばの柔らかさを、このあとがきからだけでも感じ取ることができるはずです。彼女の手によって、繊細で美しい言語に翻訳されたギャリコの作品。書店で手に取られたらすぐにおわかりになるだろうとは思いますが、素敵な挿絵も多く、絵本のような構成になっており、1日もかからずに読み終わるページ数なので、夜眠る前、静かな部屋でランプを一つだけ共してじっくり読んでほしい1冊。癒されます。

 

 

「スノーグース」ポール・ギャリコ

「八月の光」フォークナー

「夜の樹」カポーティ

 

番外編 小説でない本で面白かった本

 

「本当の戦争の話をしよう」伊勢崎賢治 

本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る

本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る

 

 

 

こちらは読み始めてすぐに twitter で紹介しましたが、その際に書いた通りぜひ読んで。世界の情勢が非常にわかりやすく、端的に解説されています。伊勢崎先生はお会いしたことはありませんが、うちの大学の大学院の教授でいらして、外大生協では彼の本の多くが平積みになって販売されています。わたしもそこで本著を見つけ、購入に至ったわけですが、大学生にもなって、ここまで噛み砕かれた本で知識を得たつもりになっていてはあまりに恥ずかしいと感じ、彼の他の作品も合せて購入したので、年末年始の休暇を利用して熟読する予定です。伊勢崎賢治先生は他にも安全保障に関わる多くの本を出版されているので、少しずつ読み進めていきたいと思います。ちなみに合せて買ったのはこちら。

 

 

国際貢献のウソ (ちくまプリマー新書)

国際貢献のウソ (ちくまプリマー新書)

 

 

以上、長くなりましたが、2015年の読書についてでした。

 

 

 

来年の目標としては、やっぱり読書の総数に占める「小説」の割合を可能な限り下げることですが、それで読む小説の数が相対的に減ってしまうことは避けたい、というより学生時代しかゆっくり古典を読む時間などないのではと思うので、読む小説の数を保ちつつ、その他の本も多く読んで、二兎を追って二兎を得る。頑張る。今の生活にうまく本を読む習慣を組み込むことを覚えたので、来年はさらに自然にこなそう。

 

 

 

少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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